Ethiopia⑦
なぜだろう。
こちらでは、男性同士でも手をつなぐのは。
エチオピアで、よく見る光景。
なぜだろう。
こちらでは、男性同士でも手をつなぐのは。
エチオピアで、よく見る光景。
溶岩の上で就寝。
仰向けになりながら夜空を見上げていると
満月が真上に来るころは0時、オリオン座が真上に来るころは3時くらいかな
と、時間が読めるようになってきた。
強風で舞いあがる砂埃を防ぐため、マスクをし、タオルを頭からひっかけて眠る日々。
4日目にしてようやく洗髪させてもらえることに !
井戸から汲んだ水をタライに注ぎ、
ペットボトルを真っ二つにカットした(洗面器の代用)で水を汲み髪にひたひたとかける。
洗っているうちに、体も洗い流してしまいたい欲求にかられ、
服を脱ぎ捨て、体中に水を浴びせた。
アセモだらけの体、からまる髪の毛、不ぞろいに伸びた爪、伸び出す眉毛。
髪を短くしてよかった。
洗い終えた後、ここに来て初めて味わった清涼感。
素っぱだかで見上げた丸い月がとても心地よかった(笑)
体の中から出た塩がこびり付いて白くなった衣服は、、、
さすがにお水がもったいなくて洗うことをやめ、再び虫干しに。
小屋の中で着替えている私を村の子供たちが隙間から覗いている。
少女たちは時々クスクスと笑い
手鏡を持ってリップクリームや日焼け止めを塗っている私を
じっと観察している。
汗だくの服を干した洗濯バサミをじっと見ている。
自分たちの服をギュッとつかんでひっぱって私に差し出し、私の目を見つめてる。
「服が欲しいの?」
東京で買った、真新しい鏡。
用意してきたTシャツ。
靴もなにもかも、全部あげてしまいたいと思った。
日本に帰れば、なにもかもあるのだから。
なにもかも手に入るのだから。
「なにが欲しいの?」と尋ねれば
きっと、「なんでも。」と返ってくるだろう。
いずれにしても、
貧しくとも、富んでいても、
そこでできる精一杯の努力をし、楽しみ、工夫をし、勉強をすること。
私たちが「Thank you for your hard work!」と言う度に、「My pleasure. This is my job!」と笑顔で返してくれる。
彼らは アフリカの大地で きっと今日も笑顔で過ごすだろう。
P.S. さすが、ここはエチオピア。お砂糖なんて入れなくても、コーヒーがとても美味しい。
カラカラに干乾びた大地。
四駆でこの大地を駆け抜けるときに響くのは、まるで瓦の上を走っているような・・・ガチャガチャしたものすごい音。
こんなカラカラの場所でも
時おり、ヤギやヒツジを遊牧しながら移動生活をするアファル人を見かけます。
「ここに生まれてたら、どうする?」
「僕は生きていけないな。」
「彼ら、幸せかな?」
「わからないですよ。もしかしたら、これ以上のものを、
都会の楽ちんな生活を知らなければ、
果てない欲望に悩まされることなく、幸せかもしれない。」
それにしても、水の確保は一体どうしているのだろう??
道なき道を進み、砂漠のど真ん中で車がパンクしても手際よく修理してしまう現地スタッフ。
そして、隙あらば入る日陰ポイント↓
車の窓ガラスはもはや透明度を失い、砂埃で真っ黒!これでは何も見えない・・・。
そんな汚れた窓ガラスに誰かさんが描いたこの美しき いたずら描き ‘eltale volcano’!
そう、目的地はまだまだ先よ。目指せ!ヴォルケーノ!!
私たちみんなまだまだ陽気です。
「コケコッコ―!」のニワトリではなく、
「ゴヒ―ゴヒ―ッ!!」と大音量で鳴くのロバの声が目覚まし代わり。
5:00am まだ辺りは薄暗い。よし、いまのうちだ!
地べたで毛布に包(くる)まって寝ている現地スタッフを踏まないよう
トイレットペーパーを片手に、ヘッドライトを頭に装着して砂利道をてくてく歩きトイレの場所を探す旅に出る。
「ところどころに地雷(糞)があるので気を付けて下さい(笑)」
と、昨夜言われた通り、ロバや、ラクダや、村人や、我々(?) の糞(地雷)がアートのように間隔をおいて並んでいる。
現場に辿り着いたらヘッドライトを消し、まわりをぐるりと見回し良き場所を確保。
村の子供たちが通り過ぎる気配や笑い声に敏感に反応してしまう。
ある日、明るいお日様の下で
私が用を足す一部始終を村の男性に見られていたこともあった。
振り返ったらその人は笑っていた。
「なに、見てんのよ・・・」
信じられない。まったく!!
言葉は通じないし・・。私は堂々とズボンを履き、振りかえらずに砂利を踏みしめて歩き去った。
振り向きたくなかった。
こんなとき、ジョークにして笑い飛ばすべき??
旅の恥はかきすて・・・って言いますものね。これも一期一会ですって?
もう、ここまできたら何を踏んでしまってもかまわない。
あぁ、もうお嫁にいけない・・・。
7:00am 朝食
オートミール、卵焼き、パン、インスタントのシジミのお味噌汁、、
コックのイエティムさんが用意してくれる食事は上出来だった。
夜が明ける前、まだみんなが寝静まっているあいだに
カタコトカタコト卵をかき混ぜる音が響き、夜が明けてみんなが起き出すときには
しっかりと、ごはんの準備が整っていて、、、
私たちが「ありがとー!」というと、けらけら笑いながら「マキアート!」と返ってくる。
どうやら‘ありがとう’が‘マキアート’に聞こえるらしいの。「マキアート!」「アリガト―!」「マキアート(笑)」って、(まるでスタバのやりとりみたい。)
現地スタッフはみんな働き者でとても陽気。
自分たちの食事は後回しにし、私たちに椅子を譲り、嫌な顔一つせず歌を口ずさみながらニコニコお皿を洗ってくれる。
ペットボトルの水がヒートアップしない方法も知り尽くしている。
この熱風の中でペットボトルの水をこれ以上温めてしまわない方法は、ペットボトルを湿らせた靴下でくるむこと。
気化熱だ。
すばらしい土着民の知恵!
靴下を濡らすのと濡らさないのとでは水の温度が大きく変わることに驚いた。
で、その靴下を水浸しにする作業さえ私たちを優先し、手伝ってくれる毎日。一日に1.5リットルのペットボトルが一人4本は軽く飲み干してしまう勢いで、このままで水は足りるのか!?と心配になる。
さて、私が海と見間違えた、海のような雪原のような白い大地の正体は
広大な塩湖。
塩の採掘をするキャラバン隊商は、このアサ―レ湖から私たちが出発した標高2000以上のメケレまで約一週間かけて延々と歩いて塩を運ぶのだという。
塩湖でキャラバン隊が荷物を積み終わり出発するまで、撮影をさせてもらったけれど
にしても、、暑い!!とにかく暑い!! 日陰もないこの炎天下で
塩を掘り、切り、ラクダに積むまで丸一日この炎天下で働く彼ら、、人間業とは思えない。
唯一の日陰は車の中。しかし、ここも暑い・・・。熱中症になりそうだった。
それでもじーっと出発を待つラクダたち。いざ背中に塩を積まれると、出発を拒むラクダもいたり。
伸びてしまっているラクダもいたり・・・。
そして、誰かがぼそっと呟いた。
「ラクダの幸せってなんだろう・・・」
「そうね。ラクダの幸せね・・・」
「ラクダって、えらいなぁ」
「ロバは、もっとかわいそうだよ。働くだけ働かされて、食べられさえしない。」
「でも、ラクダたちをまとめている隊長の足だって、靴ずれして血が出てる・・・。」
何度も塩を積み直し立ったり座ったり立ったり座ったりを繰り返し、日はすっかり暮れ始め空にぽっかりお月様が現れたころ、ようやく動き始めた。
いよいよ出動。
山の稜線に沈んでいく太陽。
夕焼けに照らされて進んでいく長い長いラクダの行列は、
あまりにも儚く、美しすぎて・・・すべてを許せてしまえると思った。
聞こえるのは、ゆっくりゆっくり大地を踏みしめる彼らの足音だけ。ここからまた一週間歩き続けるなんて。。。
とても穏やかに時が流れる中、おもわず拝みたい気持ちになった。
このまま、いつまでもラクダを見送っていたかった。
いつまでも、いつまでも。どこまでも、どこまでも。
ありがたい気持ちで心が満杯になった。なにもかも許してしまおう・・・
シャンプーや、リンス…これは必要ないだろうけど一応小さな旅行用サイズのものを持って、それから帽子、
一週間分の食糧、水、寝袋、椅子、、温度計、高度計、ガス探知機に、念のため ガスマスク、、そしてタオル。
あと、水を冷やすための靴下。
標高2000mを超えるメケレを出発。この道はまだ良いほうだった。大地溝帯ならではの断崖を走り、
進むにつれ緑も徐々に減っていく。エアコンの無い車内に舞い込む風は熱風に変わっていく。
窓を開けなければ熱気で息がつまりそうになるけど、窓を開けても熱気が吹き込むのはどうしたものか。
室外機のそばにずっといるような。。。ドライヤーをあてられているような。。。そんな例えで伝わるかなぁ??
4時間ほど走ってバレ・アレ村に到着。ここでダナキル砂漠に入るための許可証をもらわなければ先に進めない。
‘死の砂漠’と呼ばれるダナキル砂漠で行方不明になった人も過去にいるらしい・・・。ジブチ、エリトリアとの国境付近になるここからは銃を装備したポリスも何名か同行する。
お昼ごはんは巨大なクレープのような「インジャラ」。これがとても酸っぱくて、私は慣れるのに時間がかかった。このインジャラにヤギのお肉を煮込んだピリ辛のおかずと一緒に手づかみでいただく。テーブルを這っているアリたち、ハエたち、足元にごろごろ落ちたおかずたちを横目に、日本にいる私は、あまりにも潔癖すぎるのでは?と疑問をいだいてしまう。
さて、お昼休憩をした後、ダナキル砂漠の入り口 ブラ・ハレ村に到着するまでさらに5~6時間走ったかな?
日は傾きあたりは次第に茜色に変わり始めた大地を、ゆっくりゆっくり進んでいく美しいラクダの行列に遭遇。
メケレから歩いてきたのかな。ねぇ、いったい何日かけて!?
さらにラクダの進む先に広がる「海!?」のような光景に、目を奪われた。
真っ白な大地。
あの白い大地のそばに私たちがベースキャンプするブラ・ハレ村があるらしい。
そこに5つ星のホテルがあるらしい?
さて、村に辿り着いて案内された宿は・・・?
小屋の中はあまりにも暑いので満点の星と月明かりの下で野宿。
お手洗いは各自いい場所を見つけて適当に。
皆、方々に散らばり、場所を探す。身を隠してくれる場所がどこにも無い。どうしても村人に遭遇してしまう。
だからなるべく、日が完全に沈んでから、そしてまた日が昇らないうちに、用を足すことにした。
この暑さでは寝袋も必要なさそうだ。
すでに衣服は汗をたっぷり吸いこみ、頭の痒さがうずきだしていた。
村の人々が、籐で編んだ手作りのベッドの上で体を拭き、顔を拭き、
バックパックに足をのせてそっと横たわる。
月明かりと、風の音、移動する星たち。
夜空を眺めていたら、遠い遠い東京の空を想った。家族や、友達をなぜかとても懐かしく想った。
ここは別世界だ。うまく言えないけれど、私はまったく別の世の中にいる。そんな風に思って
いつのまにか眠りにおちた。とても気持ち良く眠りにおちた。メールも電話もネットも繋がらないこの場所ではそういう気持ちを祈りに変える。
明日の朝、日が昇らないうちに、トイレにいこう。