DIARY

そらまめのへそのお

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「ほら見て。まるで、おかあさんのおなかの中で繋がっていた、へその緒みたい。」”お歯黒”と呼ばれるそらまめの黒い筋の爪の部分がさやの中に残っていた。その爪を、 “へその緒” と言った母。では、お歯黒は一体どなたが名付けたか。へその緒も、お歯黒も、「確かに・・・」 と、実を見ては笑みがこぼれる。そらまめは、さやを開いた瞬間が素晴らしい。宮殿のようだ。どんな毛布にも敵わない、ふかふかの綿毛の中で、一粒一粒が、まるで母親の子宮に守られて居るように、一粒一粒が、へその緒でしっかりと繋がっているようにそこに居る。言われてみれば、実は丸まった赤子のように見えなくもない。そらまめの育ての親にとってこの愛しさは如何ばかりであろう。指宿で寒害に耐え、守られながら逞しく育ったそらまめが、生き抜いてきた強さまでも私に与えてくれている。そらまめから旬の命をいただいて、今日も「きばっど!」