SICILIA!

投稿日: カテゴリー: '13 Sicily

海の幸、山の幸、豊かな食材に工夫をこらしたシチリアの郷土料理には「ブオーーーノ!」の連続。
大家族のお宅では、映画「ひまわり」に出てきそうなほどの大量の卵を割り、大鍋でパスタを茹で、厨房は戦場と化す。
マンマ達は大阪のおばちゃんなみにパワフルで、家族愛に包まれ、あったかかった。
ご先祖さまと繋がる「死者の日」は、本当に素晴らしい風習だと思ったし、あの大家族は私の理想でもある。

茄子とトマトのパスタ”アッラノルマ”を始め、いろんな国からやってきた素材の組み合わせ方、料理法が上手なシチリア。(それをいうなら日本も負けず劣らずだけど。)
ここでは、「トリュフ?そんなの食べたことない。」と言う方もいらっしゃるくらいだから
イタリアといえども、北と南でこんなにも違うものかと学んだし、
イタリアの中にも様々な郷土料理があるのだから”イタリア料理”と一括りに呼んでしまうのは難しいなとも思った。
どことなくアフリカの薫りもしたり、イタリアという枠に留まらない魅力的な場所がシチリアなのだ。

オリーブ農園を案内して下さった貴族のご家庭で、オリーブオイルを試食(飲?)し、
この美味しさをどう伝えようかと、頭の中でぐるんぐるん表現を探していたら、そばにいた男爵はワインを片手にくるくるまわし、
「トマトのような酸味、アーティチョークのような苦み、ハーブのような香りだね」とさらっとおっしゃるじゃあありませんか。
その表現!
感心とくやしさが入りまじる私に「あれはシチリアの方だからこそ出てくる言い回しですよ。」
と、私を宥めてくださったカメラマン氏。
ともあれ、食の好みは人それぞれですから、これという正解はないのかもしれないけれど。
ワインのように美味なるオリーブオイルだったことは忘れない。

取材先でオリーブオイルをこぼしてしまった時、床に広がったオイルへ向かってマンマがパーッと塩を撒いたのには驚いた。
オリーブオイルをこぼすと縁起が悪いらしいのですが、日本と同じで、不吉なものなどは塩で祓うのだなぁ、と
オイルをこぼしてしまった申し訳なさよりその塩撒きに興味を持ってしまった私たち。
どこの国でも昔の人は知っていたのかも、塩に宿るふしぎな威力を。

アルキメデスが生まれて死んだ街シラクーサで目にしたのは、繊細で優雅なバロック調の建物。
淡いピンクの壁に薄紫のオープンカフェのテーブルクロスというコーディネートも、わたしの気に入ってしまい、
青空とやわらかいベージュの建物のコントラストが美しく、迷路のような路地裏もなにもかも絵になると惚れ惚れ。
太陽が沈む頃、桃色に染まるシラクーサの街は一層魅力的。
さて、この街で、アルキメデスがお風呂に入るシーンを再現撮影するため、地元のシチリア人撮影隊にもお手伝いをしてもらうことに。
浴槽に水を足すときに地元スタッフが一人の男性に向かって「チッチョ、アクア!」と要求しているので、私たち日本人もそれを真似て「チッチョ、アクア!」と叫んでお水をお願いしながら、作業はスムーズに進み無事終了。
彼らと別れてからコーディネーターさんが、
「チッチョっていうのは、おデブさんという意味なんですよ」と、ニコニコ顔でさらっと言うじゃない。
「どうしてその場で教えてくれなかったんですか!?じゃ、みんな彼に向かって『おい、デブ!水!』って頼んでいたことになるじゃないですか。」
すると、
「だいじょうぶ。チッチャだとブーちゃんという意味で、こちらでは幼い女の子にも「かわいいブーちゃん」みたいに言いますから。(ニコニコ)」
・・・
「本当にだいじょうぶですか!?ここシチリアっすよ。明日の朝、目が覚めたらベッドに馬の顔が~、なんてことにならないすか!?」(ゴッドファーザーか!)
どうりで。私たちが彼の名(と思っていたあだ名)を呼ぶたびに、みんながくすくす笑っていたわけだ。
その笑顔がまたこわいんだよな(と、考えすぎ。)要するに、チッチャやチッチョは愛情ある呼び方ということでしょうか。

窓枠もドアも屋根もモスグリーンに統一したおとぎの国のようにかわいらしい、老舗のチョコレート屋さんが数多く建ち並ぶモディカ。
この街でのお夕飯時。一か八かで選んだ街外れのレストラン
決して気取ったお料理ではなく、一見素朴な家庭料理。けれどそのお味はとても美味で、期待以上だった。
明日葉のような、芥子菜のような炒め物はイタリア語でよくわからなかったけれど、なんだったのだろう。とにかく美味しかった。
前菜でみんなお腹がいっぱいになった。
旨さの秘密はなんだろう??と尋ねると、シェフはテーブルに片手をドンっと突き、もう片方の人差し指と親指でOKサインをつくり、
ずばり、「情熱さ!」と一言。
食をこよなく愛するディレクターは”街の巨匠”のパッションに「生きててよかった」と感涙すらしていた。(そんなに!?)
料理が大好きなのだというおとうさんの「情熱」以外の何ものでもないのは確かだと、お世辞抜きで星3つ!と私も唸っていた。
このレストランはきっと地元の人からとても愛されている。

「昨年は私の夢を少しずつ叶えさせてもらいました」と年始に述べたけれど、その夢のひとつがシチリア島の訪問だった。
シチリアを舞台にした映画がどれも魅力的だったからなのか、私自身が海の傍で生まれたからなのか、イタリア語の響きが好きだからか、
塩野七生さんの本を愛読していたからなのか、憧れた要因は様々だけれど、
図らずも私が大好きな映画「ニューシネマパラダイス」の主人公トトくんに会わせてもらえるという知らせを聞いた今回は、描いていた夢が何倍にも膨らんでの訪問だった。
映画の舞台となったパラッツォ・アドリアーノ村は想像以上に山奥だったけれど、その分貴重で濃密な訪問時間となった気がする。
ジュゼッペ・トルナトーレ監督がこの村を愛したそうで、実際に村人に突撃インタビューをすると、

ほとんどの人がこの映画に出演していたことにも驚いた。
「僕だけ起用されないと思っていたら、監督がこのシーンに起用してくれたんだよ。」と、胸キュンなエピソードが聞けたり、
アルフレードが映写機を窓の外に向けて上映した広場や噴水も、今は家族でレストランを営んでいるトトくんの愛くるしい笑顔もそのままで、何よりこの村の住人が皆とても愛らしかった。
どうか地球の裏側にいても
トト君の愛する村で、愛するシチリアで、笑顔の日々であってほしいと願っています。

この島の人々は、駄目さも、マイペースさも、すべてひっくるめて人間らしくチャーミング。(そんなに駄目人間!?なわけじゃないけれど。)
自分をよく見せようとか、何々せなばならないとか、かたく覆っている殻を破って、もっと大らかになろっか。という気にさせられてしまうのはなぜだろう。

出会った人は皆いい人だった。本当にこんなにいい人ばかりだろうか。できすぎではないだろうかと懸念していると(わ、マイナス思考…)
ガミガミと融通の利かない意地悪な婦警さんに出会い、やっぱりこういう人もいるんだわと妙に安心したり。
チップを巧妙に多めにとろうとしたボーイに出会った時、ああ、ここはイタリアなんだわ。と再認識したり(って、何処の国にもそういう人はいる)。
何れにしても道中遭遇したよろしくない出来事さえも、

「ヴォンジョーーールノ!!」

その晴れ晴れとした響きが一掃してしまったのである。

私には眩しいくらいのその明るさと、郷土愛がすばらしいシチリア。そして美味しいものをたくさん生み出してくれたシチリア。

途中で日本食に浮気しそうになったけれど、BuonAppetito(ボナペティ!)と供された島の味の数々が、今はただただ恋しく懐かしい。


ありがとうございました! Ciao!Ciao!

シチリア島の美味しい秘密

投稿日: カテゴリー: '13 Sicily

Sicilia

2013年1月26日(土)の「世界ふしぎ発見!」は、
地中海に浮かぶイタリア・シチリア島。
今やヨーロッパ有数のリゾート地になったシチリア島ですが、
実はかつて世界の中心としてあらゆる食材が集まる場所でした。
食の世界からシチリア島のおいしい秘密に迫ります!
お楽しみに。